オリジナル曲は1996年にマリンバとピアノのために書かれた楽曲《Gurissen Music for Marimba》。2015年に、一部作曲し直し、中川佳子氏によりマリンバDUOバージョンにアレンジされ《Gerissen ~Artfulness to Light~》として生まれ変わりました。 Gerissen(ゲリッセン)はドイツ語で悪賢いという意味です。また音楽的には鍵盤から素早く手を離すという意味があります。 ~Artfulness to Light~ は悪賢いでなく、苦しみからの明るい光をテーマに作曲しました。 作曲の手法としてはフィボナッチ数列を多く入れ込んだ作曲をしていて、ところどころ数学的と感じられる部分もあります。ポップスと現代曲の間を目指して作られた楽曲に仕上げています。(大久保宙)
“Do Not Walk Outside This Area” のアイデアは、飛行機の中から窓の外を見ていた時に浮かんだ。飛行機の翼に“Do Not Walk Outside This Area”(この領域以外歩行禁止) という警告文が書かれているのが見えたのだ。それは地上の作業員用のために書かれたということは確かなのだが、この、歩くな、という文字を、1000フィートもの上空で超現実的に読んでしまい、思わず、もし僕が座席から離れて飛行機の翼の上を歩いたとしたら、と想像してしまった。
この曲 “Do Not Walk Outside This Area” は、そんな想像から思いつき、描いたものである。
冒頭はボールが固い面ではねている音に似たリズムで、このテーマは再び曲の後半にも表れる。
初めの2つのセクションでは、クレッシェンドに到達しようともがいてうまくいかず、どちらのセクションともぶっきらぼうに終わる。
抑制された中間部では、指定された領域から逃れようと無意味な努力をする。
最後の2つのセクションでは、再び生き生きとしたリズムが戻る。
この曲は、素晴らしい演奏家であり、しかもなかなかの演技力のある大森香奈に捧げている。
彼女がこんな才能をもっているということを私が絶対に見逃すはずはない。
なので、今回はただ技巧的な曲を書くだけではなく、声の要素も取り入れてちょっとおもしろい仕掛けをしてみた。
そして、演奏しながらステージの外に出ていくというフィナーレを用意した。
そのことで演奏する領域を明確にし、音楽の流れの中に視覚的な効果を与えたかったのだ。